森博嗣「有限と微小のパン」
S&Mシリーズ第10弾,つまりは最終巻.
読了した夜(昨日)は,興奮してなかなか眠れなかった.
文庫なのに厚さ33mmもあって,1200円もする.
これまでに見かけた文庫のうちでは,京極夏彦の次に厚い.
些細なことかもしれないが今作の各章のタイトルは
すべて"Pan-"で始まる英単語だ.
とにかく真賀田博士の存在感が強烈.
博士が登場する場面での緊張感がたまらない.
860ページもあるのに全然長さが感じられなかった.
特にクライマックスからエピローグにかけての濃密な展開は
まさにシリーズの完結にふさわしい.
副題の"the Perfect Outsider"が
シリーズ第1作の副題"the Perfect Insider"に対応しているのも素敵だ.
真剣に謎解きを試みた人にとっては
トリック自体は腹が立つものかもしれないが,
それこそがこの作品のメインテーマなのだと思う.
ミステリーというよりも哲学に近い.
この先は短編集を読んでVシリーズ,「四季」4部作,最新のQシリーズ,
という順番で読むのが物語的に一番楽しめるらしい.
犀川先生と西之園萌絵の物語はこれをもって一段落したが,
あの世界の物語はまだまだ続くようだ.
![有限と微小のパン (講談社文庫) 有限と微小のパン (講談社文庫)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41uPPSakctL._SL160_.jpg)
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/11/15
- メディア: 文庫
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