亀山郁夫「『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する」

光文社文庫で新しく出ている"カラマーゾフの兄弟"を訳した人が書いた本。
文学を本気で研究している人はスゴイ!とビックリせざるをえない。


出版されている"カラマーゾフの兄弟"が物語の前半にすぎなくて
後半は執筆されず終いだったこと、
後半はアリョーシャがテロリストになって皇帝暗殺を企てる話らしい、
という点までは何かで読んで知っていたのだが、
本書によれば暗殺を計画するのはコーリャ・クラソートキンである、とのこと。


続編を空想する、といっても本当に単なる空想というわけではなく、
続編のとり得るプロットが"カラマーゾフの兄弟"の序文や
当時の編集者の残したエピソード、
現実の社会情勢などの根拠に基づいて丁寧に論じられている。
キリスト教やロシアの歴史などを少しでも勉強してから読むと
ただの"カラマーゾフの兄弟"ファンとしての立場以上に楽しめたかもしれない。


"カラマーゾフの兄弟"本体は新潮文庫版で持っているが
ここ数年は1度も読み返していない気がする。
近いうちに今度は光文社文庫の新訳で読み返してみたい。
(とは言うものの全5巻で計4200円て・・・!)

『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する (光文社新書)

『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する (光文社新書)