北原和夫「プリゴジンの考えてきたこと」

プリゴジンというのは
ノーベル化学賞をとったこともあるロシア人の科学者。


プリゴジン氏は熱力学の分野で
何か画期的なことをやらかした人らしく、
本店の助教授主催の授業では
現代熱力学―熱機関から散逸構造へ」なる本を使っている。
けれども、古典的熱力学さえロクに勉強していない身にとっては
一体どのあたりが従来と違うのかイマイチわからない。
ミクロな熱力学は今の研究と関係が無いこともないので
(本店の助教授によれば大アリらしいが・・・)
この機会にきちんと勉強したい、と思っていた今日この頃に
別件で図書館をフラフラしているうちにこの本を発見。
薄くてコンパクトだったのもあって衝動借りしてみた。


前半は著者のプリゴジン研究室への留学体験記のようになっている。
最強のスタッフが秘書さんであることは
どこの研究室でも共通らしい。


後半はタイトルの通りプリゴジンが考えてきたことの話になるが、
統計力学の話から始まり専門用語の定義を省かず
数式もナシで話が進んでいくので、
ゆっくり読めばそれなりについていける。
散逸構造についてもそれっぽいイメージがもてた。
この本によれば、エントロピーの生成は
系の秩序を乱すばかりでなく、逆にある構造を形成することもあるらしい。


数式が登場するとまたわからなくなりそうだが
散逸構造の概念は、確かに研究に使える・・・かもしれない。

プリゴジンの考えてきたこと (岩波科学ライブラリー (67))

プリゴジンの考えてきたこと (岩波科学ライブラリー (67))