ポール・オースター「リヴァイアサン」

日々拡大する生協のライトノベルコーナーに抗するがごとくに,
海外文学コーナーの売上に貢献.
翻訳夜話 (文春新書)村上春樹と対談した柴田元幸が翻訳した,
ということで興味をもった.


物語は,語り手である「私」が親友のベンジャミン・サックスを中心として
サックスの妻ファニーや芸術家(?)マリアについて語ることで進んでゆく.


裏表紙のあらすじからはミステリー小説のような印象を受ける.
しかし内容はまったくのアメリカ文学
ポール・オースターの他の作品は知らないが,
とにかく心理描写が細やかだ.
不倫や事故など,複雑な人間模様と登場人物の心境の変遷が
こと細かに書かれている.


おそらく,人間の心境をこれほど詳しく表現している小説を読んだのは
私にとって初めてかと思われる.
どうしたらこんなに内面を丁寧に表現できるのか不思議でならない.
言葉のもつ可能性はやはり無限大だ.

リヴァイアサン (新潮文庫)

リヴァイアサン (新潮文庫)